TSUKIZAKI
CONSULTING OFFICE

事業承継プランニング

後継者育成プランの策定を支援します。

サラリーマンは多くの転勤を経て激しい競争の中で昇進の階段を登り、人生の後半に漸く経営層に到達するのが一般的です。しかし、事業承継ではそのような長い時間を掛ける事は出来ません。
一方、後継者は早期に貴重な経営経験を積むことが出来ますが、中小企業は厳しい経営環境にあり、経営の現場に放り込むだけでは育成する事は出来ません。「組織経営」を教え組織の掌握が出来るようにサポートする必要があります。

PASS THE BATON

当オフィスの役割

後継者には、しっかりとした経営管理手法を教え重要な経営課題に取り組み、組織を掌握し激しい環境の変化に適合する変革力を身に付けられるように段階を追った育成プランの策定をサポートします。

①基本的な考え方

事業承継においては、強い個性や秀でた能力に依らない普通の人間力を持った人材が経営を担える体制を作る事が必要で「組織経営」を目指すべきではないかと考えます。

組織経営は、役員と社員がそれぞれの役割を認識し、経営計画によって組織を統制するもので、多くの事業で通用する経営の基盤となるものだと考えます。

②組織を動かすノウハウについて

経営計画を進めると言っても組織は計画を作れば動くものでは無く、多くの事に手当てし組織を動かす工夫と努力をしなければなりません。

明快な数値目標を示し、達成した成果に応じ報酬を出す管理がされています。しかし、数値を達成する為の具体的なプロセスが考慮されず数値の達成を強要する管理も多く、所謂ノルマ主義に陥り経営に対する信頼を損ねるケースも多くなっています。

市場が右肩上がりの時代には動けば成果が出ていたのでノルマ管理は「わかり易く」良かったですが、市場が飽和し結果を出しにくい時代では、成果を生む行動を見出すのは難しく、そこに相当な工夫と努力をしなければなりません。しかし、安易に結果を求める事も多く、最悪の場合粉飾等の不正に至ってしまいます。

経営計画で組織を統制する為にはまず信頼を醸成し組織としての考え方を揃え、経営陣が社員の行動に関心と配慮を払い、その結果として成果が生まれる流れを作る必要があり、経営陣には胆力が求められます。

信頼の醸成も会社の文化に拠ってそのやり方は異なり、考え方を揃える事も業種・業態によって違って来ます。組織経営を目指す上では、後継者に組織を動かすノウハウを体得して貰う必要があります。

③3つの経営計画

組織経営の構築の為には、 事業の状況に応じ概ね3つの経営計画を段階的に進めることが必要になります。

一つは「利益計画」でキャッシュを捻出すると共に、お金の流れの把握を目指します。月次決算で予算と実績を対比する予実管理を行い、売掛金の回収と支出の管理に力を注ぎ、資金繰りを確実に行うことでキャッシュを捻出します。但し、会社によっては月次決算をすることが大きなハードルであるかもしれません。また、売掛金回収は営業のタブーに触れる場合もあり迂闊に踏み込めないかもしれません。

所望する結果をノルマとするのではなく、まず自主的な予算を立て実績との乖離を掘り下げ、次の予算に反映させるサイクルを構築します。そして、予算と実績の分析の中で事業の現場の問題点や課題が次第に明かになります。尚、お金の流れの把握は重要ではありますが会社によってはサンクチュアリーがある場合もあります。この段階でそこに踏み込むことには慎重になる必要もあります。

二つ目は、改善活動の推進です。利益計画の予実管理の中で見えてきた問題点や課題を掘り下げる事で、普段の仕事の中の隠れたムリ・ムダ・ムラが表に現れて来ます。それらを削減するプランを立て取り組む事で経営効率が高ります。

但し、改善は仕事を変える事になる為ストレスを伴い社員に抵抗感が生まれます。それをどのように克服するかも後継者の重要な課題です。この現場の改善に取り組み経営効率を高める事で後継者にとって組織を掌握する重要なステップとなります。

また、改善テーマは段階的に難度を高めます。初めは改善によって仕事の時間が短縮するようなテーマを扱うのが良いでしょう。改善の取り組みに社員がポジティブになると進めやすくなります。

後継者の改善に対する当事者意識が高まるかどうかで成果は左右され、 更に成果が生まれる事で意識は高まり経営者としての自覚の形成に繋がるでしょう。しかし意識や自覚のスイッチは思惑通りに入るものではなく、閃きに似た人間的な作用だと思います。

三つ目は、中期計画の構築です。事業承継の時機に至っている会社は、事業環境が創業時に比べ大きく変化し、ビジネスモデルが時代に合わなくなっている事が多くあります。ビジネスモデルは経営資源を顧客にとっての価値に変える仕組みですが、環境への適合はビジネスモデルの変革や事業領域の変更を伴い、仕事の再構築が必要になってきます。

経営の変革は必ず成功する方式は無く、リスクの許容可能な範囲の中で試行錯誤を繰り返し、目指す姿に向けて事業性を高めて行かなければなりません。一方で、経営陣は目指す姿の達成に信念を持たなければなりません。 また、計画が事業環境に照らし理に叶うものであると役員・社員が納得しなければなりません。この信念と納得感を作ることが組織経営を進める「軸」になります。

尚、環境への適合は、既存モデルの新市場への展開や既存市場での新たなビジネスモデルの展開等「地続き」の変革を考える事が必要です。新規モデルを新市場に展開する様な飛び地に向かうことは体力に余裕がある場合に限ることが望ましいと考えます。

後継者が中期計画を構築し推進する様になれば、経営者も後継者の手腕に手応えを持つ事になり、経営権を譲ることも視野に入って来るのではないかと思います。