TSUKIZAKI CONSULTING OFFICE

笑顔のバトンを次世代に繋ぐ。

事業承継プランニング

後継候補との話し合いの為の準備をサポートします。

戦後の民法によって職業選択の自由が浸透している今、後継候補の方にとって「何故、事業を継ぐのか?」その意義を明らかにしてあげることが重要です。事業承継する事により自らの成長にどのような意味があるか、経営力はどのように身に付ければ良いのか、それらを明確に説く必要があります。

当オフィスの役割

経営者の方が会社の魅力や課題を再認識し、後継候補の方にとっての「事業承継の意義」を明らかにするお手伝いをします。

①事業承継を取り巻く環境の変化

今の経営者の若い時代とは異なり、事業承継を取り巻く環境は大きく変化しています。戦後民法改正で家父長制が廃止され、子の平等と職業選択の自由も浸透しています。その様な中で状況の良い事業には後継者は居る反面、先の見通しの悪い会社には後継者が居ないことが多い様です。経営者としても良い状態で子に事業を継ぎたいと思うのも親心です。

一方、国内は少子・高齢化による人口減少で総じて右肩下がりに転じ、デジタル化により新陳代謝のスピードは増し、グローバル化によって予期せぬ変化が足元を揺るがす様になっています。この様に停滞と変化がせめぎ合う予測の付かない時代だけに、今状況が良い職に就くことが将来の安定を約束するものではなく、むしろ時代の変化を生き抜く力を養う事が大切ではないでしょうか。

時代を生き抜くとは、変化を乗り越えられる力を持つ事であり、それは厳しい状況を乗り越える事で養われるものだと思います。その意味で事業継承は経営責任を引き受け、幾つかのハードルを越えなければならず、大変貴重な経験になると思います。経営が手に負えないものでないならば、悪い状況も試練と考え、経営責任を担わせることが生きる力を養うことになると考えても良いのではないでしょうか。

②自社の魅力と課題の再認識

多くの経営者は足元の事に追われ自社を客観的に見る暇が無かったかも知れません。また事業承継は株の事、複雑な家族関係、色々な事業の問題が絡み合うだけに整理がつき難いものです。その様な中でも自社の魅力を見つめ直し、株・家族・事業の課題や問題点を整理し、事業承継が子の成長にとってどの様な意味を持つものかを考える事が必要です。

かつては魅力だった事も、悪い状況の影に隠れ埋もれてしまっているかもしれません。また、課題や問題が走馬灯の様に巡ってしまったり、経営の当事者としてその課題や問題を子に押し付ける事は出来ないと思うかもしれません。
しかし、まず課題や問題を書き出し、冷静に洗い出す事が必要です。色褪せたかつての強みも、状況を変えればまた違った強みになる事もあります。

③後継候補のプロフィール

親が子を見る時に未熟さが眼に映るかもしれません。また、経営者としては自らの物差しで後継候補の力量を計るでしょう。しかし、私のこれまでの経営経験の中で立場が人を作るケースを数多く見ており、意外な成長をする事も少なくありませんでした。

後継者の育成は立場を与え課題を明確にし、意識がどの様に変わるのかを見ながら次の立場を与え、少し背伸びをさせ自覚と責任の意識の変化を見るべきではないかと思います。

そして後継候補がこれまで育って来た中で、どのような経験をして来たのか、またどのようなメンタルな傾向を持ち、何を大切にして来たのかも重要です。それらのプロフィールを考慮し、立場と課題の与え方を考慮する必要があります。但し、適性は見るべきで人間関係を嫌う人材は経営には向かないでしょう。また、普通に読み書き、計算が出来る必要はありますが、所謂学校の勉強における優秀さは必要無いのではないでしょうか。

後継者育成プランの策定を支援します。

サラリーマンは多くの転勤を経て激しい競争の中で昇進の階段を登り、人生の後半に漸く経営層に到達するのが一般的です。しかし、事業承継ではそのような長い時間を掛ける事は出来ません。
一方、後継者は早期に貴重な経営経験を積むことが出来ますが、中小企業は厳しい経営環境にあり、経営の現場に放り込むだけでは育成する事は出来ません。「組織経営」を教え組織の掌握が出来るようにサポートする必要があります。

当オフィスの役割

後継者には、しっかりとした経営管理手法を教え重要な経営課題に取り組み、組織を掌握し激しい環境の変化に適合する変革力を身に付けられるように段階を追った育成プランの策定をサポートします。

①基本的な考え方

事業承継においては、強い個性や秀でた能力に依らない普通の人間力を持った人材が経営を担える体制を作る事が必要で「組織経営」を目指すべきではないかと考えます。

組織経営は、役員と社員がそれぞれの役割を認識し、経営計画によって組織を統制するもので、多くの事業で通用する経営の基盤となるものだと考えます。

②組織を動かすノウハウについて

経営計画を進めると言っても組織は計画を作れば動くものでは無く、多くの事に手当てし組織を動かす工夫と努力をしなければなりません。

明快な数値目標を示し、達成した成果に応じ報酬を出す管理がされています。しかし、数値を達成する為の具体的なプロセスが考慮されず数値の達成を強要する管理も多く、所謂ノルマ主義に陥り経営に対する信頼を損ねるケースも多くなっています。

市場が右肩上がりの時代には動けば成果が出ていたのでノルマ管理は「わかり易く」良かったですが、市場が飽和し結果を出しにくい時代では、成果を生む行動を見出すのは難しく、そこに相当な工夫と努力をしなければなりません。しかし、安易に結果を求める事も多く、最悪の場合粉飾等の不正に至ってしまいます。

経営計画で組織を統制する為にはまず信頼を醸成し組織としての考え方を揃え、経営陣が社員の行動に関心と配慮を払い、その結果として成果が生まれる流れを作る必要があり、経営陣には胆力が求められます。

信頼の醸成も会社の文化に拠ってそのやり方は異なり、考え方を揃える事も業種・業態によって違って来ます。組織経営を目指す上では、後継者に組織を動かすノウハウを体得して貰う必要があります。

③3つの経営計画

組織経営の構築の為には、 事業の状況に応じ概ね3つの経営計画を段階的に進めることが必要になります。

一つは「利益計画」でキャッシュを捻出すると共に、お金の流れの把握を目指します。月次決算で予算と実績を対比する予実管理を行い、売掛金の回収と支出の管理に力を注ぎ、資金繰りを確実に行うことでキャッシュを捻出します。但し、会社によっては月次決算をすることが大きなハードルであるかもしれません。また、売掛金回収は営業のタブーに触れる場合もあり迂闊に踏み込めないかもしれません。

所望する結果をノルマとするのではなく、まず自主的な予算を立て実績との乖離を掘り下げ、次の予算に反映させるサイクルを構築します。そして、予算と実績の分析の中で事業の現場の問題点や課題が次第に明かになります。尚、お金の流れの把握は重要ではありますが会社によってはサンクチュアリーがある場合もあります。この段階でそこに踏み込むことには慎重になる必要もあります。

二つ目は、改善活動の推進です。利益計画の予実管理の中で見えてきた問題点や課題を掘り下げる事で、普段の仕事の中の隠れたムリ・ムダ・ムラが表に現れて来ます。それらを削減するプランを立て取り組む事で経営効率が高ります。

但し、改善は仕事を変える事になる為ストレスを伴い社員に抵抗感が生まれます。それをどのように克服するかも後継者の重要な課題です。この現場の改善に取り組み経営効率を高める事で後継者にとって組織を掌握する重要なステップとなります。

また、改善テーマは段階的に難度を高めます。初めは改善によって仕事の時間が短縮するようなテーマを扱うのが良いでしょう。改善の取り組みに社員がポジティブになると進めやすくなります。

後継者の改善に対する当事者意識が高まるかどうかで成果は左右され、 更に成果が生まれる事で意識は高まり経営者としての自覚の形成に繋がるでしょう。しかし意識や自覚のスイッチは思惑通りに入るものではなく、閃きに似た人間的な作用だと思います。

三つ目は、中期計画の構築です。事業承継の時機に至っている会社は、事業環境が創業時に比べ大きく変化し、ビジネスモデルが時代に合わなくなっている事が多くあります。ビジネスモデルは経営資源を顧客にとっての価値に変える仕組みですが、環境への適合はビジネスモデルの変革や事業領域の変更を伴い、仕事の再構築が必要になってきます。

経営の変革は必ず成功する方式は無く、リスクの許容可能な範囲の中で試行錯誤を繰り返し、目指す姿に向けて事業性を高めて行かなければなりません。一方で、経営陣は目指す姿の達成に信念を持たなければなりません。 また、計画が事業環境に照らし理に叶うものであると役員・社員が納得しなければなりません。この信念と納得感を作ることが組織経営を進める「軸」になります。

尚、環境への適合は、既存モデルの新市場への展開や既存市場での新たなビジネスモデルの展開等「地続き」の変革を考える事が必要です。新規モデルを新市場に展開する様な飛び地に向かうことは体力に余裕がある場合に限ることが望ましいと考えます。

後継者が中期計画を構築し推進する様になれば、経営者も後継者の手腕に手応えを持つ事になり、経営権を譲ることも視野に入って来るのではないかと思います。

後継者に伴走し、育成を支援します

社員は建前と本音を持ち日常の何気ない言葉にその意識が現れます。組織を動かすには建前に惑わされず本音のところで信頼を醸成し、目線を揃え、試行錯誤しながら結果を出す必要があります。

当オフィスの役割

組織を動かすノウハウは机上では学び難く、現実の経営の中で解説し、実践できるようにサポートする必要があります。その為には「伴走」が必要だと考えています。経営現場に寄り添い後継者を支援します。

①伴走とは

経営者と後継者との話し合いを経て組織経営を目指す育成計画に理解が得られた後、月に一度半日程度、後継者と面談しながら課題を明かにし、次月の目標を設定します。基本的には半年をサイクル(計画・実行・評価・見直し)として経営計画に取り組む事を契約し伴走を開始します。

初めの一年は契約を半年更新とし、その後は状況に合わせ契約することが望ましいと考えます。どのような経営計画にするか、どの程度の期間で経営承継するのかにより面談のサイクルを増やす事もあります。

面談の場所や仕方はプランナーが社内にどのように紹介され、どのような立ち位置に立つかによります。初めは後継者と社外で面談し、社員に警戒感が生じないようにする事も必要かもしれません。また、後継者の社内での立場を把握しなければならない場合は、それなりの立場として社内で紹介いただき会議を傍聴することも必要になって来ます。

②経営者の立ち位置

経営者の立ち位置は後継者の自覚の形成に非常に重要です。伴走の初めは細かく面談内容と次月の計画を経営者と後継者に相談し、納得を得ながら進めます。サイクルが進むにつれ経営者の流儀との違いにギャップを感ずる事もあるでしょう。

経営者の承継の覚悟は、後継者の経営者としての自覚の形成と表裏の関係にあります。 後継者の育成が進むに連れ、経営者は承継後の自身のライフプランを明確にすることが大切です。特に自分の居場所をどの様に考えるか、そこがポイントではないでしょうか。

承継後に若い社員の育成の立場に着くこともあるかも知れません。また、全く事業とは離れたプランを持つかもしれません。経営者の承継後に向けた意識の持ち方次第で後継者の自覚の形成が進むと思います。

3代を越え永続する為の
ファミリー・ビジネス・ガバナンスの構築支援

同族会社は3代を超え存続する事が難しいと云われます。家族は子・孫へと世代を経る毎に規模は大きくなり、それに連れ自社株も分散すると事業の意思決定が不安定化するリスクが高まります。一方で、時代が進み市場環境は変容し事業は変革しなければ衰退へと向かいます。
家族が絆を保ち争いを防ぎ、あるべき姿を目指す取り組みが必要ですが、それが「ファミリービジネス・ガバナンス」の構築です。

当オフィスの役割

事業の永続と子孫の繁栄を目指す事業承継プランニングの重要テーマとしてファミリービジネス・ガバナンスの構築を支援します。

①何故3代を超えて存続する事が難しいのか。

初代の創業者が事業を立ち上げ成功させ、その子供が二代目として事業を承継し、そして孫が三代目となるケースを単純化して考えてみます。

まず家族ですが仮に創業者に二人の子供が誕生しその2人の子供にそれぞれ2人ずつの子供が生まれた場合、三世代目に4人の孫が居ることになります。次に自社株ですが、親から子に平等に相続した場合二世代目の2人の子はそれぞれ50%ずつ保有することになり、更に三世代目では4人の孫が25%ずつを保有することになります。

そして事業ですが、それぞれの世代が20年ずつ事業を担ったとして、三代目に至る時点で概ね創業から40年が経過し、三代目から四代目に承継される時点では単純計算で60年が経過することになります。

会社の重要事項は株主総会で議決権の多数で決めますが、第三世代は4人の「いとこ」が25%ずつの議決権を保有しますので、何らかの意思決定のルールの定めがない限り意思を纏めるのは難しくなります。更に、その時点では創業から半世紀以上が経過し事業環境は大きく変化し変革が必要になります。議決権が4人に分散してる状況では重要な意思を纏めることが難しくなるリスクが高まります。

世代の経過により家族の人数は大きくなり持ち株は分散する傾向にあり、事業環境は時代の経過に伴い大きく変化し経営の舵取りは難しくなる為、事業・家族・自社株のあり方に相当な手当てをしなければ三代を超える頃には大きな壁が生じ存続が困難になります。

②ガバナンスの必要性

ガバナンスは日本語で「統治」ですが、異なるものを纏め、あるべき姿に導くことを意味します。世代を経る毎に大きくなる家族を纏める力と変化を乗り越え目指す姿に導く智慧が必要になります。その取り組みが「ガバナンス」でありファミリー・ビジネスの永続を考える場合大変重要なテーマだと考えます。

最近は上場企業でコーポレート・ガバナンスが求められます。日本の上場会社の場合、従業員の延長に取締役が位置付けられることが多いため、社内の論理で意思決定が行われないように社外取締役が経営を監督することが必要とされます。

しかし、家族のメンバーが経営に参画するファミリービジネスの場合、家族の意思が大きく事業に影響する為、家族の意思を纏め、あるべき姿に自らを律することが大切になってきます。

ファミリービジネスは、家族が株主として会社の重要事項を決める為、家族の話し合いが必要で、家族間の利害関係を調整するルールも欠くことが出来ません。場合によっては、敢えて第三者の目をビジネスに入れることも選択肢になります。ファミリービジネスが長く存続するためには、普通の家族には求められない「自律に向けた取り組み」が必要になります。

③家族の絆の形成

家族の所帯が大きくなりファミリービジネスの「オーナー」として絆を保つ為には三つの考え方を共有することが必要です。

1)会社は社会の公器であること

会社は社会に貢献し社会から認められ存続することから、松下幸之助は「会社は社会の公器」と言いました。会社を私物とせず社会に貢献するからこそ繁栄するものである事を家族が深く理解する必要があります。

2)受託責任

事業の恩恵は株主である家族が受ける権利を持ちますが、それはその世代だけのもではなく、子や孫に大切に引き継ぐべきものであるとすることが事業の永続にとって重要です。
その世代が託された責任を果たす為に、堅実な経営をし変化に適合する智慧を持ち、後継者を育成する必要があります。これは決して容易いことではありません。

3)ファミリー資産という考え方

ファミリービジネスが栄える為には基盤となる資産がしっかりしている必要があります。ビジネスが将来も繁栄するには投資とその為の財産が必要です。また、社会の中で人と人の繋がりがあってビジネスが支えられます。更に、家族に対する地域の信頼があり、それが培われることで繁栄に繋がります。財産・人脈・信頼が「ファミリーの資産」としてビジネスを支える事を家族が理解するべきではないかと思います。

オーナー家族が事業との利害を調整する時に、この考え方に立脚し判断を積み重ねる事が必要で、その結果として家族全体がこれらの考え方を共有する事になります。そして、親が子に考え方を浸透させ、その子が伴侶に考え方を理解して貰い、更にその子に教育する事で多世代で考え方が共有され絆が形成すると思われます。

④3代先を見据えた資産承継スキームの構築

意識や考え方と共に自社株の承継の仕組みも考慮しなければなりません。議決権の集約は、意思決定の安定の為には必要ですが、現代にあっては相続の平等を損なうことは家族の争いを生む原因になります。
家族の和を保つ事に手当てし自社株の議決権の集約と財産の平等のバランスを図り、更に、事業運営に悪影響を与えないような承継スキームの検討が必要です。そして、そのスキームの検討の為にはプランナーと士業が協議し、種類株や家族信託等も考慮し案を纏めオーナー様にご提案し、ご理解が得られたところで士業の方々と契約して頂き、実際のスキームの構築を行う事になると考えます。

⑤家族組織と取締役会の対話

ビジネスの根幹となる自社株のあり方を考慮し、家族が話し合い調整する組織を作り、取締役会と対話を進める事でファミリービジネスのあるべき姿を目指すガバナンスが構築出来ると思っています。

取締役会も家族と対話をする為には説明責任を磨き、株主である家族に事業に対する深い理解を得る努力をする必要があります。
家族組織と取締役会は、以下の事柄について対話し利害の調整を図ります。

  • 理念の共有と事業戦略の理解
  • 投資と配当の考え方
  • 就業ルール
  • 後継者の育成計画と選定の仕組み

プランナーは家族組織の構築と対話の運営についてもサポートをさせて頂きます。

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