事業承継プランニング❹
3代を越え永続する為の
ファミリー・ビジネス・ガバナンスの構築支援
同族会社は3代を超え存続する事が難しいと云われます。家族は子・孫へと世代を経る毎に規模は大きくなり、それに連れ自社株も分散すると事業の意思決定が不安定化するリスクが高まります。一方で、時代が進み市場環境は変容し事業は変革しなければ衰退へと向かいます。
家族が絆を保ち争いを防ぎ、あるべき姿を目指す取り組みが必要ですが、それが「ファミリービジネス・ガバナンス」の構築です。
当オフィスの役割
事業の永続と子孫の繁栄を目指す事業承継プランニングの重要テーマとしてファミリービジネス・ガバナンスの構築を支援します。
①何故3代を超えて存続する事が難しいのか。
初代の創業者が事業を立ち上げ成功させ、その子供が二代目として事業を承継し、そして孫が三代目となるケースを単純化して考えてみます。
まず家族ですが仮に創業者に二人の子供が誕生しその2人の子供にそれぞれ2人ずつの子供が生まれた場合、三世代目に4人の孫が居ることになります。次に自社株ですが、親から子に平等に相続した場合二世代目の2人の子はそれぞれ50%ずつ保有することになり、更に三世代目では4人の孫が25%ずつを保有することになります。
そして事業ですが、それぞれの世代が20年ずつ事業を担ったとして、三代目に至る時点で概ね創業から40年が経過し、三代目から四代目に承継される時点では単純計算で60年が経過することになります。
会社の重要事項は株主総会で議決権の多数で決めますが、第三世代は4人の「いとこ」が25%ずつの議決権を保有しますので、何らかの意思決定のルールの定めがない限り意思を纏めるのは難しくなります。更に、その時点では創業から半世紀以上が経過し事業環境は大きく変化し変革が必要になります。議決権が4人に分散してる状況では重要な意思を纏めることが難しくなるリスクが高まります。
世代の経過により家族の人数は大きくなり持ち株は分散する傾向にあり、事業環境は時代の経過に伴い大きく変化し経営の舵取りは難しくなる為、事業・家族・自社株のあり方に相当な手当てをしなければ三代を超える頃には大きな壁が生じ存続が困難になります。
②ガバナンスの必要性
ガバナンスは日本語で「統治」ですが、異なるものを纏め、あるべき姿に導くことを意味します。世代を経る毎に大きくなる家族を纏める力と変化を乗り越え目指す姿に導く智慧が必要になります。その取り組みが「ガバナンス」でありファミリー・ビジネスの永続を考える場合大変重要なテーマだと考えます。
最近は上場企業でコーポレート・ガバナンスが求められます。日本の上場会社の場合、従業員の延長に取締役が位置付けられることが多いため、社内の論理で意思決定が行われないように社外取締役が経営を監督することが必要とされます。
しかし、家族のメンバーが経営に参画するファミリービジネスの場合、家族の意思が大きく事業に影響する為、家族の意思を纏め、あるべき姿に自らを律することが大切になってきます。
ファミリービジネスは、家族が株主として会社の重要事項を決める為、家族の話し合いが必要で、家族間の利害関係を調整するルールも欠くことが出来ません。場合によっては、敢えて第三者の目をビジネスに入れることも選択肢になります。ファミリービジネスが長く存続するためには、普通の家族には求められない「自律に向けた取り組み」が必要になります。
③家族の絆の形成
家族の所帯が大きくなりファミリービジネスの「オーナー」として絆を保つ為には三つの考え方を共有することが必要です。
1)会社は社会の公器であること
会社は社会に貢献し社会から認められ存続することから、松下幸之助は「会社は社会の公器」と言いました。会社を私物とせず社会に貢献するからこそ繁栄するものである事を家族が深く理解する必要があります。
2)受託責任
事業の恩恵は株主である家族が受ける権利を持ちますが、それはその世代だけのもではなく、子や孫に大切に引き継ぐべきものであるとすることが事業の永続にとって重要です。
その世代が託された責任を果たす為に、堅実な経営をし変化に適合する智慧を持ち、後継者を育成する必要があります。これは決して容易いことではありません。
3)ファミリー資産という考え方
ファミリービジネスが栄える為には基盤となる資産がしっかりしている必要があります。ビジネスが将来も繁栄するには投資とその為の財産が必要です。また、社会の中で人と人の繋がりがあってビジネスが支えられます。更に、家族に対する地域の信頼があり、それが培われることで繁栄に繋がります。財産・人脈・信頼が「ファミリーの資産」としてビジネスを支える事を家族が理解するべきではないかと思います。
オーナー家族が事業との利害を調整する時に、この考え方に立脚し判断を積み重ねる事が必要で、その結果として家族全体がこれらの考え方を共有する事になります。そして、親が子に考え方を浸透させ、その子が伴侶に考え方を理解して貰い、更にその子に教育する事で多世代で考え方が共有され絆が形成すると思われます。
④3代先を見据えた資産承継スキームの構築
意識や考え方と共に自社株の承継の仕組みも考慮しなければなりません。議決権の集約は、意思決定の安定の為には必要ですが、現代にあっては相続の平等を損なうことは家族の争いを生む原因になります。
家族の和を保つ事に手当てし自社株の議決権の集約と財産の平等のバランスを図り、更に、事業運営に悪影響を与えないような承継スキームの検討が必要です。そして、そのスキームの検討の為にはプランナーと士業が協議し、種類株や家族信託等も考慮し案を纏めオーナー様にご提案し、ご理解が得られたところで士業の方々と契約して頂き、実際のスキームの構築を行う事になると考えます。
⑤家族組織と取締役会の対話
ビジネスの根幹となる自社株のあり方を考慮し、家族が話し合い調整する組織を作り、取締役会と対話を進める事でファミリービジネスのあるべき姿を目指すガバナンスが構築出来ると思っています。
取締役会も家族と対話をする為には説明責任を磨き、株主である家族に事業に対する深い理解を得る努力をする必要があります。
家族組織と取締役会は、以下の事柄について対話し利害の調整を図ります。
- 理念の共有と事業戦略の理解
- 投資と配当の考え方
- 就業ルール
- 後継者の育成計画と選定の仕組み
プランナーは家族組織の構築と対話の運営についてもサポートをさせて頂きます。